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マダム・リーの劇場版偏愛シネマ99 2021年に選ぶ100本目は?

『スパイの妻<劇場版>』
久しぶりに、封切り日を待ちわびて劇場に足を運んだ作品。
本作に携わったすべての方のターニングポイントとなる作品かもしれない。
開戦の予兆を孕んだ時代、暮らしが足元から崩れ出していくひんやりとした恐怖。
スクリーンの向こうには凛と張り詰めた空気がある。美しい背景、見事な衣装、カメラワーク、音楽。
愛することと理解すること、人を思うこと、自分の信念に従って生きること、
全てが奔流となって行き着く先は見通せない。最後の景色は、観る人によって大きく異なるに違いない。
ただ、皆が口にするのは等しく「あの」言葉であろう。心の底から揺さぶられる傑作です。