BugWVA5o


書物にとっての喜びは、読まれることにある。
書物は他の記号について語る多数の記号から成り
たつのだが、語られた記号のほうもまたそれぞれ
に事物について語るのだ。読んでくれる日がなけ
れば、書物の抱えている記号は概念を生み出せず
に、ただ沈黙してしまう。
ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』河島英昭訳
東京創元社刊 下巻226p