【2018年掲載記事 アンコール】
退職記念還暦祝読書会(平成31年2月24日開催)にあわせて、翻訳ミステリー福島読書会の豹頭王に99の質問に答えていただきました。
すべての回答をシリーズで掲載。全6回、本日からスタートです。
1 本を読むようになったのはいつごろからですか
小学生高学年ですね。
2 その頃はどんな本を?
ポプラ社の乱歩、ホームズです。
3 探偵小説ファンになったきっかけは
現実がつまらなかったから?現実逃避?おどろおどろしい世界へのめり込める!
4 月に何冊くらい読みますか
10冊程度
5 読んだ本の記録をとっていますか
中学以来現在まで、読んだ日と10段階の評価を記録しています。
6 ズバリ!国内探偵小説のベスト10を
1位 獄門島 横溝正史
孤島で起きる連続殺人事件、見立て殺人、「気違いじゃがしかたがない」 なんといっても国内最高の本格探偵小説です。
2位 刺青殺人事件 高木彬光
刺青と三すくみ、ゾクゾクする密室殺人事件、何故首を切らなければならなかったのか? 感動ものです。
3位 殺人鬼 浜尾四郎
戦前最高の本格探偵小説。「グリーン家殺人事件」「黄色い部屋の謎」が好きな人にはたまらない作品。
4位 伯林一八八八年 海渡英祐
乱歩賞受賞作の中では最高傑作。最近の乱歩賞受賞作からは考えられないレベルの高さ。むかしの乱歩賞はよかった。
5位 占星術殺人事件 島田荘司
乱歩賞候補作にして島田荘司の最高傑作。
袋とじで出版されたときに、ぞくぞくしながら読みました。バラバラ死体切断の真相では度肝を抜かれました。
6位 人狼城の恐怖 二階堂黎人
四冊で刊行され、たどり着いた真相には驚かされました。二階堂黎人の最高傑作です。
7位 迷路館の殺人 綾辻行人
館シリーズは全部好きですが、作中作を入れ込んだ本作品が一番好きです。複雑な構成を堪能しました。
8位 肖像画 依井貴裕
東京創元社で刊行された三作品は文庫化もされず忘れ去られている作家ですが、本作品は傑作です。どんでん返しの妙に堪能しました。
9位 鉄鼠の檻 京極夏彦
京極堂シリーズでは、本作品と「絡新婦の理」が最高傑作でしょう。
分厚い作品ですが、この分厚さがたまりません。二階堂の「聖アウスラ修道院の惨劇」と読み比べるとなお一層楽しめます。
10位 自動車教習所殺人事件 中町信
乱歩賞候補作で、初期は「『心の旅路』連続殺人事件」、「高校野球殺人事件」、「散歩する死者」と上質な本格探偵小説を次々と発表していた中町信の代表作。
この作品をベスト10に入れる人は私の他にはいないでしょう。
7 では、続けて海外ベスト10を
1位 黄色い部屋の謎 ガストン・ルルー
密室殺人と意外な犯人で現在でも理想の探偵小説です。中学生の時読んだ感動が忘れられません。
2位 三つの棺 ジョン・ディクスン・カー
カーは傑作・怪作が多く「曲がった蝶番」「火刑法廷」「囁く影」「ユダの窓」等捨てがたい作品が目白押しですが、やっぱり「密室講義」のある本作品がベストかな。
3位 エジプト十字架の謎 エラリー・クイーン
クイーンは、国名シリーズすべて好きですが、本作と「ギリシャ棺の謎」が双璧です。
国名シリーズの中では、一番怖い本作品がベストです。
4位 Yの悲劇 エラリー・クイーン
X・Y・Zの悲劇、レーン最後の事件と最高の四部作ですが、代表で本作品にしました。
5位 そして誰もいなくなった アガサ・クリスティー
10人のインディアンが次々といなくなる。誰もいなくなってしまう本作品は、高校時代に読んで感動しました。
6位 第二の銃声 アントニイ・バークリー
世界探偵小説全集が刊行されてやっと読めました。期待にたがわず、「毒入りチョコレート事件」と並んでバークリーの代表作です。
7位 トライアル&エラー アントニイ・バークリー
倒叙推理と思って読んでいると……あっと驚く結末。
8位 歯と爪 ビル・S・バリンジャー
返金保証付きの袋とじ本で読みました。わくわくする展開がたまりません。
9位 グリーン家殺人事件 ヴァン・ダイン
お屋敷ものの見本の作品。「僧正」よりも本作品が好きです。
10位 ユダの窓 カーター・ディクスン
有名な「ユダの窓」とは何か。法廷場面の論争が抜群に面白い。
8 2018年に読んだ本のベスト1は?
「碆霊の如き祀るもの」三津田信三
9 続けて2018年のベスト10を
碆霊の如き祀るもの 三津田信三 原書房
グラスバードは還らない 市川優人 東京創元社
合邦の密室 稲羽白菟 原書房
パズラクション 霞流一 原書房
ネクスト・ギグ 鵜林伸也 東京創元社
星詠師の記憶 阿津川辰海 光文社
誘拐の免罪符 小島正樹 南雲堂
それまでの明日 原尞 早川書房
沈黙のパレード 東野圭吾 文芸春秋
鳥居の密室 島田荘司 新潮社
2018年は三津田信三と市川優人につきますね
三津田は久々の東城言哉シリーズで大満足です。本格とホラーの融合が見事。
市川は高水準のデビュー3作目グラスバードの正体には驚きました。
稲羽は純日本風な世界がいいですね。福山ミステリー大賞優秀作です。
霞はさすがの一作。犯罪を自分流に変えてしまうのが凄い。
鵜林はロックが好きな人にはたまらない作品。ロックとは何か?本格推理とは?
阿津川は1作目より大分良くなりましたが、前半傑作後半失速ですね。今後どろどろの本格を書いてくれるのを期待。
小島正樹は安定した高水準です。でも海老原ものが読みたいです。
原尞は本当に久々作品、沢崎の存在感が素晴らしい。次は何時出るのかな?
東野はひさびさのガリレオシリーズ、期待していませんでしたが、さすが熟練の味です。
島田は御手洗潔だからいいでしょう。
それでは、2019年は、綾辻行人の館シリーズ最終作、小島正樹の海老原最終作、二階堂黎人の蘭子最終作に期待して!
10 栗本薫『グイン・サーガ』を全巻読破、「人生の一時期はグインを読むために生きていた」発言が重なって、福島読書会の豹頭王の称号を得たわけですが、正伝130巻、別巻22巻(23冊)のなかで特に好きな巻は?